
第2種旅行業への挑戦
2025年はどんな年に?
1月も25日にもなると、さすがに遅きに失した感はありますが、改めて、あけましておめでとうございます!今年も静岡TaaSをよろしくお願いします。
アメリカでは、トランプ新政権が1月20日に発足し、「アメリカ・ファースト」の施策がどのように世界に影響を与えるのか、注目されるところです。
パレスチナでの停戦が実現したこともあり、願わくば、ウクライナ戦争でも停戦が実現し、世界が平和になり、拡大している世界的な観光需要が一層活発になることを期待したいところです。
タクシーの募集型企画旅行拡大に向けて
前回のコラムでは、静岡市の清水港に寄港する大型クルーズ船への埠頭でのタクシーチャーター手配の実績を報告した。そして、水物(富士山観光の比重が大きく、天気や船の客層に大きく左右される)である埠頭におけるタクシーの貸切手配に加え、事前の募集型企画旅行(パック旅行)にも力を入れるべく、英語ガイドの養成やタクシー乗務員のガイド化に取り組む旨を書いた。
その結果、この間の活動により英語ガイドで十数人、英語対応の乗務員10人、アプリ対応の乗務員30人ほどの候補者を確保することが出来た。
今後は、3月以降に本格的に寄港が始まるクルーズ船の乗客に対するパック旅行の知名度を上げ、事前の予約を如何に増やして行くことが出来るか、が問われることになる。
そのためには英語版のホームページを充実させ、さらにはSNSでの発信を強化し、着実に利用者の獲得に努めたい。
第2種旅行業への挑戦
一方で、タクシーのパック旅行を強化するためには、実は大きな課題がある。
現在、旅行業者としての一般社団法人静岡TaaSは、第3種旅行業の資格で運営されている。旅行業法上、第3種の資格では、パック旅行の営業エリアが限られており、本社が所在する市町村とそれに隣接する市町村までを対象に旅行先としてパックを組むことができる。
一方で、現在、清水港の埠頭で行っている手配旅行では、旅行業法上のエリア制限が無く、静岡市に隣接しない神奈川県の箱根や山梨県の河口湖などを目的地とする貸切手配も可能だが、これらのエリアを対象にパック旅行を企画しようとすると、第2種旅行業の資格が必要となる。この2種の資格があると、海外を除く日本全国を対象としたパック旅行の実施が可能となる。
当然、清水港からの広域的なタクシーチャーターパック旅行を目指す静岡TaaSとしては、第2種の資格取得は必須となる。
問題は、第2種の申請資格要件の第一に純資産700万円以上という条件があることである。さらに、旅行者保護のために国に営業保証金1100万円を納める必要がある。
現在の一般社団法人静岡TaaSがこの財務的な壁を突破するには無理があるので、新たに資本金2000万円で株式会社静岡TaaSトラベルという新会社を設立することにした。株式会社にしたのは、新たな資金調達をしやすくするためである。一般社団法人静岡TaaSの理事でもある東海電子の杉本哲也社長にも出資(共同代表)をいただき、第2種の資格を取得次第、一般社団法人静岡TaaSの旅行部門の業務とスタッフをこの新会社に移管することにした。株式会社の代表取締役社長は私が務め、一般社団法人静岡TaaSとの連携を担保することにした。
一般社団法人静岡TaaSの役割
株式会社の設立と旅行部門の移管により、一般社団法人静岡TaaSは、その設立以来の目標である静岡市の地域全体最適配車プラットフォームの実現と運営に特化することになる。
とりわけ、現在、静岡県タクシー協会静岡支部および清水支部で検討されている地域共同アプリの推進をサポートし、地域全体でのクラウドによる仮想共同配車の環境を構築することに注力したい。幸い、この一月から若手の渡辺茂樹さんを常務理事として、一般社団法人静岡TaaSに迎えることができたので、これらの構想の実現に新たな戦力を加えることが出来た。
また、システムオリジンとAI会社による、AIを使った音声配車の仕組みの開発が進んでいる。地方のタクシー会社にとって、利用者のアプリ利用がそれなりに進んでも、やはり電話受付を完全に廃止することは出来ない。とすれば、現在の飛躍的に進んだ生成AIによる音声応答システムの活用は必須である。一般社団法人静岡TaaSでも配車業務の受託が進み、さらに共同配車化進めば、このAIによる細やかな電話受注・配車システムの活用は避けて通れない。当面は、IVRなどによる夜間での実験的試行にチャレンジして行きたい。
クルーズ船向け自家用車活用事業の挑戦
昨年の一般社団法人静岡TaaSによる清水港埠頭での貸切タクシーの手配は、出店38日間で配車台数は859台、取扱高は2340万円であった。
その中での大きな課題は、海外クルーズ船寄港という一大イベントの中での短時間に、長時間でのタクシー貸切が発生し、地域のタクシー車両が枯渇してしまうという問題である。
実際、数時間のうちに40台を超えるタクシー車両に3時間から6時間の貸切が発生し、さらに貸切だけでなくメーター運賃による運行も行われる。
天候や船の規模、客層によって増減はあるが、海外からのインバウンド客を1時間近く待たせてしまうケースもあり、その結果、利用客が待ちきれずに貸切手配をキャンセルしてしまう事態も発生した。
そこで静岡TaaSとしては、静岡市の行政当局に対して、昨年の配車実績データに基づき「清水港におけるクルーズ船への日本版ライドシェア(自家用車活用事業)」適用の要請書を運輸支局に出すようお願いしている。一方で、静岡市側は、要請した結果、タクシー事業者がこの要請内容を確実に受け入れて実施をしてくれるかどうかを懸念しており、事前にタクシー協会に打診するよう弊社団に要請があったので、弊社団から静岡県タクシー協会清水支部および静岡支部に打診をしている段階である。
静岡TaaSとしては、このイベント型のクルーズ船向け日本版ライドシェアは、地方における有力なモデルであり、確実な需要対応と運転者の確保が可能な仕組みであり、イベント時における利用者の利便性だけでなく、地域の住民の足の確保、行政における移動権の確保の責任、タクシー事業者の業績の拡大、英語活用の機会拡大を望む日本版ライドシェアの運転者にとっても是非とも実現すべきモデルだと思う。また、静岡運輸支局にもこのサービス実現のための相談をしているが、好意的に対処してもらっている。
しばらくは、運用上のノウハウ蓄積が必要となるであろうが、3月2日に清水港への初寄港となるノルウエイジャン・スカイ(旅客定員2450人)に向け、たとえ1台であろうとも、クルーズ船対応型日本版ライドシェアの初ケースとして実現を目指したい。是非とも関係各位の前向きな協力をお願いしたい。
(2025年1月25日)
清野 吉光(きよの よしみつ) 略歴
1950年 長野県四賀村生まれ、印刷関係など様々な職業に従事。1976年 清水市の日の丸交通入社。1980年 静岡市内の事務機器センターに入社。1982年 システムオリジンを仲間と創業、専務取締役。1992年代表取締役社長就任。2016年3月 システムオリジン社長退任。クリアフィールド取締役。2021年3月 システムオリジン戦略企画担当取締役に就任。2021年5月 一般社団法人静岡TaaS代表理事に就任。
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